患者様に最良の治療を

症例紹介

Case introduction

症例紹介

Case introduction

正咬合(ふせいこうごう)

矯正治療はかみ合わせの悪い患者さんを対象にした治療です。 そのかみ合わせの悪い状態は不正の咬合と呼ばれています。不正咬合は、歯と顎の大きさのアンバランス、遺伝性のもの、習慣性の癖、鼻疾患や舌の異常や歯の位置異常などにより、成長過程の子供のうちに作られます。 したがって、かみ合わせの悪い状態で成長させない為に、大人になってから治療を始めるよりも子供のときから開始するのがより有効的なのは容易に理解できます。

不正咬合をほっておくと、虫歯、歯周病はもちろん顎関節症の原因になることがあり、また肩こりなどの関係諸筋肉のスパム(筋緊張)の原因にもなることがあるのです。

※通常これらの不正咬合は、明確にそれぞれを分けられるのではなく、口腔内ではいろいろな状態で混在しています。

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っ歯

出っ歯は一般的な言い方ですが、歯性の前後的なずれのものと骨格性のずれのものがあります。歯性のものは、歯の位置の異常によるもので歯の移動により改善を行えますが、骨格性のものは、骨格のずれをできるだけ改善する必要が出てきます。

症例説明
  1. 主訴:出っ歯と歯並びのみだれを治したいと来院
  2. 診断と治療方針:診断名:上顎骨狭窄を伴ったClassⅡ div.1 症例
  3. 16歳 女性
  4. 使用装置:急速拡大装置(Rapid expander)  Quad helix マルチブラケット
  5. 抜歯症例:上下左右第一小臼歯4本

    成長期における鼻閉による口呼吸により嚥下も正しく行われず、上あごの発育不全による上あごの狭窄(狭い)と下あごの奥歯の舌側への傾斜が見られる。また叢生を伴った出っ歯を作っている。そのため上あごの側方への急速拡大を行った後、下あご奥歯の直立、上下あごの第一小臼歯4本抜歯後スペースを利用して出っ歯の改善を行った。また、嚥下、呼吸を改善するために口腔周囲筋のトレーニングを併用した。

  6. 治療期間:約3年3ヶ月
  7. 動的治療費目安:80万円
  8. リスクと副作用:上あごの急速拡大装置ですが、口蓋(上あごの天井部)から下の位置にあり、舌がぶつかって痛いという訴えはないのですが、発音しにくくなる欠点があります。5~6ヶ月装着したままです。
初診時

初診時

動的治療終了時

動的治療終了時

け口

受け口は反対咬合とよばれるもので、これには①骨格の異常(ずれ)が原因のもの(骨格性反対咬合)と②歯の位置異常(歯性対咬合)があります。

①は下のあごが過剰成長している場合や上のあごが劣成長しているような骨格の異常と、②は何らかの原因で上の前歯が内側に斜していたり、逆に下の前歯が前方に傾斜しているような骨格はあまり関係のない歯の位置の異常による場合です。いずれも原はあるのですが、骨格性の場合は特に早期治療が必要ですし、顎変形症の可能性も出てきます(顎変形症を参照)。

通常 適齢期(8歳前後)に開始すると第一期治療と第二期治療の二つに分けられます。第一期治療が終わると口の中に入ってた矯正装置を外し、保定装置と呼ばれる後戻りを防ぐための装置に代わります。第二期治療が始まるまでは観察期間となり、成の状態や歯の萌出状況を観察します。時期がきましたら再度第二期治療のための診査を行います。

症例説明
  1. 主訴:前歯のかみ合わせが反対ということで来院
  2. 診断および治療方針: 前歯部反対咬合
  3. 初診時年齢11歳、男性
  4. 使用装置:顎外固定装置(チンキャップ) マルチブラケット
  5. 非抜歯症例

    側方からの頭部レントゲン分析によると、反対咬合は重篤な骨格性のものではなく、第一期治療(早期治療)では、下あごの成長をコントロールしながらワイヤー操作によりかみ合わせの改善を図った。装置撤去後成長をコントロールするためのチンキャップは継続し、未萌出の永久歯萌出を待つために毎月一回来院して頂き経過観察を行った。再度診査を行い第二期の治療を開始し、第二次性徴による身長の伸びを考慮し(身長の伸びと共に下あごも大きくなる)、経過を観察しながら約3年半後に終了した。第二期治療は長期に渡りました。反対咬合の治療ですが、身長が伸びると下あごも大きくなる傾向にあり、女性に比べ男性は身長の伸びが長期間になるため治療が長期に渡ることが多いのです。

  6. 治療期間:第一期治療 10か月
    経過観察
    無料
    第二期治療
    40か月
  7. 動的治療費目安:第一期 38万円 第二期 44万円
  8. リスクと副作用: 顎外固定装置のチンキャップは、頭からかぶって下あごに力を加えていくもので、毎晩就寝中を中心に~10時間の装着が必要で努力が必要です。
初診時

初診時

第一期治療終了

チンキャップ

第一期治療終了

動的治療終了時

動的治療終了時

写真を診て頂ければわかりますが、上下前歯のかぶさりが上下的に開いている状態のかみ合わせのことを言います。原因としては嚥下時に舌が前方へ出てきてしまい、その舌の力によって開きます。舌の力は大きく、歯を移動したり骨格の成長を変えてしまうなど大きく影響を及ぼします。

症例説明
  1. 主訴:前歯でものが噛めない、あごの関節が痛いそして頭痛が激しいと訴え、近隣大学病院口腔外科からの紹介で来院
  2. 診断と治療方針:骨格性開咬症
  3. 28歳 女性
  4. 使用装置:歯科矯正用アンカースクリュー(ISA) マルチブラケット
  5. 非抜歯症例

    嚥下障害、口呼吸の改善のため口腔周囲筋のトレーニングを併用する。外科手術の併用も考えられたが、上あごの口蓋(上あごの天井にあたる部分)に歯科矯正用アンカースクリュー(ISA)を植立し、下あごが閉じるように回転を加える。それにより後退している下あごを前方へ、長い下顔面部(鼻から空いたあごまでの長さ)を短くする。もともと初診時の歯ならびには大きな問題はなく、非抜歯で治療を行った。

  6. 治療期間:2年4か月
  7. 動的治療費目安:78万円(アンカースクリューを除いて)
  8. リスクと副作用:歯科矯正用アンカースクリューは、植立する部位や患者さんによって骨の厚みや硬さが異なるため、脱落することもあります。また歯磨きにより注意が必要となります。
初診時

初診時

途中経過

途中経過

動的治療終了時

動的治療終了時

歯科矯正用アンカースクリュー(ISA)

歯科矯正用アンカースクリュー(ISA)

いくつかのタイプがあります。写真1は、上下あごの奥歯の歯肉を診て頂くと解かりますが、歯肉を介して歯槽骨に植立されています。写真2は、上あごの口蓋(上あごの天井部)に縦に2本のスクリューが確認できると思います。

他の植立部位への歯科矯正用アンカースクリューもありますが、患者さんの骨格や不正咬合(不正のかみ合わせ)の状態により使い分けることになります。いずれも歯を動かすための動かない固定源とするために利用するもので、以前では実現できなかったような治療効果を得る可能性が増えました。植立したインプラントはたまにぐらついて抜けてしまうことがあります。その場合再度植立をすることになります。

歯科矯正用アンカースクリュー(ISA)

ぐい歯

叢生と呼ばれるもので、歯が乱れている状態のかみ合わせを言います。すべての症例に共通しますが、嚥下や呼吸のような機能的原因からも起こりますが、簡単な原因では乳歯と永久歯の大きさの不一致なども原因となります。

症例説明
  1. 主訴:歯並びのみだれを気にして来院
  2. 診断および治療方針:上顎骨狭窄、叢生を伴ったAngle ClassⅠ症例
  3. 年齢29歳 男性
  4. 使用装置:急速拡大装置(Rapid expander) マルチブラケット
  5. 抜歯症例 上下顎左右第一小臼歯4本

    上下のあごの歯並びはV字型を呈し、上あごの幅が狭く劣成長している。また上下の歯並の正中(真ん中の位置)が左側へ偏位しており、そのため上下歯列とも左側前歯が内側へ転移している。治療方法として、上あごの側方への拡大と上下のあごから奥歯合計4本の抜歯を行い、上下歯並びの正中の位置を右側へ移動しみだれを改し、咬合(かみ合わせ)を作ることとした。

  6. 治療期間:2年9か月
  7. 動的治療費目安:78万円(急速拡大装置は除く)
  8. リスクと副作用:上あごの急速拡大装置はですが、口蓋(上あごの天井部)から下の位置にあり、舌がぶつかって痛いという訴えはないのですが、発音しにくくなる欠点があります。5~6ヶ月装着したままです。
初診時

初診時

途中経過

途中経過

動的治療終了時

動的治療終了時

下顎前突

上下の前歯というより上下の歯ならび全体が前方に位置している状態で、上あごと下あごの骨が前方に位置している場合もあます。顔の下顔面部が突出して見えます。

症例説明
  1. 主訴:上下の前歯が前突している
  2. 診断および治療方針:上顎骨が前方位をとった上下顎前突症
  3. 年齢24歳 女性
  4. 使用装置:歯科矯正用アンカースクリュー(ISA) マルチブラケット
  5. 抜歯症例 上下左右第一小臼歯4本

    前突している上下前歯を後方移動するために、上下顎左右の奥歯を4本抜歯しました。その抜歯したスペースを利用して上下前歯を後方に移動するのですが、前歯を後方へ引っ張るとその反作用で上下の奥歯が前方へ引っ張られてしまいます。奥歯の前へ移動する量が多いと前歯を後方移動する量が減ることになります。それでは、重篤な症例では満足な結果が得られないことになります。そこで、上下あごの左右の歯槽骨(写真参考)に歯科矯正用アンカースクリューを植立し、そのスクリューから前歯を引くようにします。こうすれば、後方の奥歯が前方へ動くことを減らすことができるのです。

  6. 治療期間:2年10ヶ月
  7. 動的治療費目安:75万円(歯科矯正用アンカースクリューを除く)
  8. リスクと副作用:歯科矯正用アンカースクリューは、植立する部位や患者さんによって骨の厚みや硬さが異なるため、脱することもあります。また歯磨きに気を付けることが必要となります。
初診時

初診時

途中経過

途中経過

動的治療終了時

動的治療終了時

変形症・
外科矯正

既に成長がなくなった成人に対し行われ、日本では特に上あごと下あごの骨のずれによる反対咬合が多く骨格性反対咬合と呼ばれています。下あごの1 jawの離断手術と上下のあごの2 jawの離断手術があります。また逆に出っ歯においても下あごが後退して出っ歯を形成している場合、下あごを前方に移動してかみ合わせを作っていきます。骨のずれを改善しなければ、その末端にある歯(歯並び)は正しく咬むことができないのですから。このように外科手術を併用する場合、矯正治療も手術入院も医療保険が適用されます。通常入院は1週間~2週間ですが、退院直後の仕事への復帰は難しいかもしれません。また手術後しばらくの期間痺れが残ることもあります。

症例説明
  1. 主訴:前歯が反対に咬んでいる
  2. 診断および治療方針:骨格性反対咬合
  3. 20歳 男性
  4. 使用装置:マルチブラケット
  5. 非抜歯症例

    上あごと下あごの骨のずれによる骨格性反対咬合ですが、それに加えて下あごが本人の左へ偏位(ずれている)しています。1 jawの離断手術で下あごを後方かつ右側へ移動する。口腔外科との連携で治療を行いました。比較的初診時での上下の歯並びが良好であったため、外科手術を含めた治療期間も短くてすみました。

  6. 治療期間:1年11ヶ月(手術入院も含む)
  7. 動的治療費目安:医療保険適応
  8. リスクと副作用:入院が必要なため患者さんの社会的な立場を考慮する必要があります。また手術後しばらくの期間痺れが残ることもあります。
初診時

初診時

手術直前の状態

手術直前の状態

動的治療終了時

動的治療終了時

蓋咬合

開咬と全く逆のかみ合わせの状態です。通常は、上の前歯が下の前歯を深く覆っている状態で、下の前歯が見えにくくなって隠れた状態になっています。これは受け口の患者さんにでも起こりうることで、その場合は下の前歯によって上の前歯が見えなくなります(写真1、2)。

過蓋咬合

過蓋咬合

症例説明
  1. 主訴:出っ歯が気になると来院
  2. 診断および治療方針:下顎後退と過蓋咬合を伴った症例
  3. 10歳 女性
  4. 使用装置:バイオネーター マルチブラケット
  5. 非抜歯症例

    横から撮影した頭部のレントゲン写真から下あごが後退(骨格の中で後方に位置している)した出っ歯であるため、バイオネーターという装置を約1年使用し、下あごを前方へ成長させることとしました。またそれによって前歯のかみ合わせも浅くなってきます。下あごが前方へ成長したのち上下あごの歯並びを整えながらかみ合わせを作ります。

  6. 治療期間:2年6ヶ月
  7. 動的治療費目安:80万円
  8. リスクと副作用:バイオネーターはとても有効な装置ですが、一日中 口の中へ入れていなければより良い効果が得られません。
初診時

グラフ

途中経過

途中経過

動的治療終了時

グラフ